ここ最近「お金の増やし方」や「投資術」、中には「成功するビジネス」といった「お金」に関する情報が多くなってきました。書店でも「月〇〇円で1億円」というような内容の書籍や電車の広告にも「〇〇投資」「保険は不要」というものがズラリと並ぶ時代になってきました。
先日見た電車の広告には「がん保険は無駄だと分かり解約できました!」ということや「インデックスファンドに投資をしようと思いました!」というコメントが広告文として掲載されておりましたが、私自身「何て無責任な広告なのか…」と非常にがっかりしました。
私自身、このように「お金」に関して少しでも興味を持ってもらえるきっかけが増えてきたということは非常に嬉しく思っておりますが、一方で「情報の良し悪し」が見えにくくなってきた、と思っております。
今回は「お金に関する『情報』」との付き合い方をテーマに「失敗しない付き合い方」をまとめてみたいと思います。
今回の目次
「お金の増やし方」に正解はあるのか?
インデックス投資と貯蓄型保険を比較してみる
選択を失敗しないための「心理」
正しい情報とはいったい何なのだろう?
「お金の増やし方」に正解はあるのか?
まず最初に最近よく見られる「お金の増やし方」というテーマでまとめてみたいと思います。「お金の増やし方」というと皆さんどのような方法を思いつくでしょうか?
・米国株のインデックス投資
・不動産投資
・海外積立投資
・貯蓄型保険
・FXや暗号資産 など
方法を挙げたらキリがない、これが現状です。そして、その中で様々な業者や事業者が「この方法が一番!」という形で競争をしているという構造になっているのです。
そしてこのような例もあるでしょう。「〇〇という方法は増えない、手数料が取られるからダメだ」ということを言って、その手法を否定するということ。
SNSやニュースを見ていると、著名な方が「インデックス投資にとりあえず突っ込んでおけば問題ない、保険は増えないから即解約」ということを発信し、その言葉を参考に投資を始めている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
果たしてそうでしょうか。実際に比較をしていきましょう。
インデックス投資と貯蓄型保険を比較してみる
例えば、最近よく「投資をしたら間違いない」と言われている「米国のインデックスファンド」、これはアメリカの企業の株式に投資をしているものですが、アメリカが成長していくにつれてこのファンド自体も伸びていく、だからアメリカが成長している限りは損をすることはない、という理屈で勧めている方も多いのではないでしょうか。そして貯蓄型保険はもったいないから投資に回したら?と貯蓄型保険の解約を勧める方もいらっしゃいます。
それでは、貯蓄型保険はどうでしょうか?貯蓄型保険は積立をしていきながら一定期間が経過すると積立てた金額よりも増えて返ってくるという仕組みです。それまでは積立てた金額よりも減って返ってくる、だから「損」するので投資がベストだ。ということがよく起こります。
貯蓄型保険はなぜ「損」をすると思われているのでしょうか。それは違う性質のものを同じ土俵で比べているためどうしても相対的に劣って見えてしまうのです。貯蓄型保険は何で運用をされているかというと一般的には「債券」です。保険の性質上、安定した運用をしないといけない、だからこそ国や会社の借金である「債券」を用いていますが、株式に比べて明らかにローリターンであることは言うまでもありません。
そのため、この2つはそもそも比べられないものなのです。それぞれの特性を見極めて選択するしか方法はないのです。
他の方法も同様です。それぞれリターンの高さや低さ、そしてリスクの高さ低さが異なり、どのようにしてお金を増やしていくのかという性質が違います。そのため、一概に「これが正しい」という方法がない、ということが現実なのです。
選択を失敗しないための「心理」
それでは、たくさん手法がある中から何を選択すればいいのか?ということが次の疑問として挙がってきます。ここでよくある失敗事例をご紹介していきます。
「この方法だと一番お金が増えるからこれにする」
経験上、この心理が一番危険な状況です。手法を選択する要素が「リターン」だけであるということです。例えば、この理由によって選択された方法がFXであったとしましょう。FXは例として日本円と米ドルの交換によって利益を得るという手法ですが、リターンもリスクも非常に高い選択肢になります。利益が出ることもあれば出ずに損失が積もることもある、いわばギャンブルと似たようなものでもあります。
この手法を好む方ももちろんいらっしゃいますが、一方で「絶対にお金を減らしたくない、だけどたくさん増やしたい!」という方が始めると、当たり前ですが非常にストレスがかかってしまいます。そして焦りからさらに損失を生み出し、結果的に利益が何も出ずに終わってしまうことはよくあることなのです。
だからこそ、選択をするときには「増えるから」という考え方はおすすめいたしません。それでは、どのような「心理」での選択がよいのでしょうか。
「自分に合っているものはどれか?」
「損失が出てるときにメンタルは持つか?」
もちろんリスクリターンの検証やライフプランをもとにした検証は必要ですが、心理の面でいうとこの2つが大切です。まずは自分に合った方法か。たくさん増やしたいけど損失は出したくないのか、それとも銀行よりは増えたらいいな…なのかということを問いかけることが大切です。そしてもう一つは「損失」への対応です。減ってもいいお金なのか、そうでないのか。どこまで減ることを容認するのかということも洗い出してみると、より効率の良い方法に出会える可能性が高まります。
お金に「心理」?
そう思われがちですが、実は「心理」はお金の増やし方の成果に直結するものなのです。
正しい情報とはいったい何なのだろう?
それでは「正しい方法」とは存在するのでしょうか。
私は「正しい方法は『ない』」と考えています。しかしその反面「あなたに合っているであろう方法は『ある』」という考えになります。
世の中の「この方法が正しい!」と呼ばれるものがあなたに合っているかどうか、この判断軸を持っていないと金融商品選びは失敗してしまう可能性が非常に高まります。
勧められた方法が正しいかどうかは誰にも分かりません。著名人であれ専門家であれ、お金に関することはあくまで「可能性論」でしか論ずることはできません。そのため、その「可能性」の中から「あなたに合っているであろう方法」を探し出していき、その方法を選択するという流れになるのです。
そして、その「合っているであろう方法」を探し出していくには「仕組み」を知っていく必要があります。今回であれば投資と貯蓄型保険の仕組みの違いというところでしょう。この「仕組み」を知ることで「損」を防ぐことができ、そしてこの「仕組み」は出来るだけ早く知っておいていただきたい、と私は思っております。